【事例解説】物流コストを削減する方法は?物流課題を解決するアイデア | 関根エンタープライズグループ
2023.07.05
物価高や働き方改革が進む昨今、物流コストの削減はどの企業でも優先して取り組むべき課題となっています。しかし、何から始めたらよいのか、どのように削減すれば良いのかと、頭を抱えておられる方は少なくないでしょう。
そこで今回は、物流コストの削減事例をご紹介していきます。物流コストの考え方や、具体的な取り組み内容についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
物流コスト削減は「見える化」がカギ
物流にかかるコストは、一般的に製造原価や販売管理費といった勘定科目に計上されるので、把握しにくいものです。そのため、物流コストを削減するには、物流コストを「見える化」する必要があります。
物流コストの内訳について
物流にかかるコストは固定費と変動費の大きく2種類に分けられ、固定費は人件費・管理費・保管料といった変わることがあまりない経費を、変動費は運送費・荷役費・加工費といった取り扱うモノの量に応じて変動する経費を指します。
コスト削減に向けて取り組む際は、まずこれらの内訳を把握しましょう。
物流費の内訳については「物流費が上昇する3つの原因!物流コストの削減方法をご紹介」で解説していますので、併せてご覧ください。
物流コスト比率について
売上高のうち物流コストに占める割合を物流コスト比率といいます。物流コスト比率は、物流コストの実態を把握するKPI(重要経営管理指標)として活用されることの多い数値ですので、コスト削減に向けて定期的に算出しておくべきだと言えるでしょう。
なお、経済産業省の「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」によると、昨今の物流コスト比率(全業種)は、2015年の4.63%から2021年5.7%と長期的な上昇傾向にあり、この背景には労働力不足による運賃や荷役費の値上げが起因しているとされています。
物流コストの計上方法は企業によって様々ですから、この数値は絶対的なものではありません。しかし、自社の物流コスト比率が全業種の平均に比べてどの位置にあるのか、実態を把握するのには有効な数値です。
【事例】物流コストの削減を成功に導く5つのアイデア
それでは次に、物流コストの削減事例を見ていきましょう。
事例①:物流拠点の集約化でコスト削減
物流コスト削減に繋がった事例1つ目が、物流拠点の集約化です。
物流コストを圧迫する要因に、無駄な保管スペースが発生している点と、トラックの積載率が低い点があげられます。
各所に散らばっている保管スペースを1箇所に集約すれば保管料のムダを排除でき、またトラックドライバーの数も最小限におさえることができるでしょう。
これを実現するには、
- 自社で扱っているモノの量
- 使っていない保管スペース
- 物流コストの内訳
を把握していく必要があります。
事例②:物流スキームの見直しでコスト削減
物流コスト削減に繋がった事例2つ目が、物流スキームの見直しです。
スキームとは、「計画」や「枠組み」といった意味を持つビジネス用語です。つまり、物流スキームとは、物流計画や物流の枠組みといった意味合いを持ちます。
例えば、本来ならやらなくても良い作業が手順に含まれている状態や、そもそもルール化されていない状態がある物流現場では、物流スキームに3M(ムリ・ムダ・ムラ)が発生している可能性が高いと言えるでしょう。
物流スキームを見直して作業工程が見える状態になれば、これまで属人的な作業だった工程が誰でもできるようになりますし、ムダな作業を省いていくことにも繋がります。
これらを実現するには、まず業務フローを明確にしなければなりません。その上で、マテハン機器や物流ロボットを導入すると、さらに生産性がアップしていきます。
加えて、環境はどんどん変化していくものですので、PDCAサイクルを定期的に見直す必要もあるでしょう。
なお、物流の業務フローについては「物流の流れや業務フローはどうなっている?知っておきたい仕組みや機能」で詳しく解説しています。
事例③:作業効率の向上でコスト削減
物流コスト削減に繋がった事例3つ目が、作業効率の向上です。
作業効率をアップさせる方法はいくつかあり、また作業内容や環境によっても様々ですが、身近なストレスを解消することは一つの解決策です。
例えば、
- 無理な姿勢が長時間続く
- 他の対応に追われて作業に集中できない
- 人の技術や知識に頼る作業が多い
といった環境は、作業効率を下げる要因となります。
このようなストレスがかかる環境をなくすことで、作業時間の短縮や、品質の向上も目指していけるでしょう。
そのためにはまず、スタッフからヒアリングを行い、現状を把握する必要があります。その上で、部門ごとが持つ問題解決に向けてレイアウトやマニュアルを見直したり、人材教育を実施していきます。
具体的な対策については「物流倉庫の作業を効率化! 生産性を上げるための5つの目標」をご覧ください。
事例④:物流システムの導入でコスト削減
物流コスト削減に繋がった事例4つ目が、物流システムの導入です。
物流システムには、輸送・配送の状況がリアルタイムで管理できる輸配送管理システム(TMS/Transport Management System)や、商品の入庫・在庫・出庫状況が確認できる在庫管理システム(WMS/Warehouse Management System)、ハンディターミナルや自動搬送ロボットを使用してピッキングを行うピッキングシステム、梱包を自動で行ってくれる自動梱包システムなどがあります。
これらの物流システムを導入するメリットは、失敗コストの削減にあるでしょう。失敗コストとは、その名の通りエラーに伴って発生するコストを指します。
【失敗コストの事例】
- 梱包ミスで梱包材をムダにしてしまった
- 誤出荷で返品対応や再出荷の手間がかかってしまった
- 商品を落として破損させてしまった
- 渋滞に巻き込まれて残業代が発生した
失敗コストは、内部で発生するものと、外部で発生するものに細分化され、上記の事例で言うと、梱包ミスや商品破損は内部失敗コスト、誤出荷による顧客対応や輸配送時のトラブルは外部失敗コストとなります。
失敗コストに対して、失敗を予防するためにかけるコストを予防コスト、作業品質を維持するためにかけるコストを品質コストと呼んでおり、この3つのコストを併せたコストを総コストと言います。
物流システムの導入には導入費用やシステム使用料が発生しますので、「お金をかけてまで対策するのは……」と躊躇される方も少なくありません。しかし、予防コストや品質コストをかける目的は、失敗コストを下げて総コストを削減することです。逆に言えば、失敗コストを把握していない状態で物流システムを導入すると、かえってコストが上がってしまう可能性もあります。
そのため、コスト削減を成功させるには、自社で発生している失敗コストを計算して、全体のバランスに合った物流システムを導入する必要があるでしょう。
物流品質に関しては「物流品質の基礎知識!品質向上への取り組みや管理方法について解説」をご覧ください。
事例⑤:3PLや物流アウトソーシングの活用でコスト削減
物流コスト削減に繋がった事例5つ目が、3PLや物流アウトソーシングの活用です。
3PLとはサードパーティーロジスティクスの略称で、全ての物流機能を外部の業者に委託するビジネスモデルです。注文受付や在庫管理、入庫・出庫・出荷といった物流に関する業務を、包括的に任せるのが一般的です。
対して物流アウトソーシングとは、物流機能の一部を外部の業者に委託するビジネスモデルです。「物流倉庫業務だけ」「輸送だけ」「繁忙期だけ」など自社ではまかなえないリソース(場所・人員・機材など)を補填するイメージです。
3PL・物流アウトソーシングの活用がコスト削減に繋がる理由には、
- 物流に関する人件費や場所代などがカットできる
- コストが可視化できる
- 自社の人員を営業や企画などのコアな業務にあてられる
- 物流に関する顧客対応を業者に任せられる
といったものがあります。
なかでも物流アウトソーシングは、季節や時期によって物量がかわる事業者にとって、大幅なコスト削減に繋がると言えるでしょう。
物流アウトソーシングの業者選びについては「物流アウトソーシングとは?メリット・デメリット・業者の選び方を解説」で解説していますので、参考にご覧ください。
自社の課題を解決して物流コストを削減しよう
今回は、物流コストの削減事例についてご紹介しました。
物流コストの削減は、自社が持つ物流課題の解決に直結する取り組みです。そのため、まずは自社の物流機能にどのような課題があるのかを見える化し、課題解決に向けて俯瞰的に判断していく必要があります。
事例の最後にご紹介した3PLや物流アウトソーシングを提供している事業者の中には、物流コスト削減についてアドバイスが受けられるところもあります。自社での判断が難しい時は、こういった専門家を頼るのも良いでしょう。
なお、物流機能については「【物流とは何か?】物流の目的や機能・ロジスティクとの違いについて 」をご覧ください。
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